3歳までに様々な味を覚えさせなさい、などと言われることがあります。それが正しいことなのか、またどのような影響があるのか気になります。「こち亀の檸檬」のように食べただけで食材の構成が分かったりするようになるのでしょうか。4つの項目に分けてみましたので紹介します。
1.味覚を育てることで、肥満になりにくい
味覚には、「うま味」「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」の五種類があり、これを五味と言います。小さいこどもにとって味覚は表現しやすく、うま味・甘味・塩味は成長するために特に必要であることからおいしいと感じ、酸味・苦味は自らに危険を生じさせかねない、腐れたものと似ているためまずいと感じます。成長していくにつれて経験が増え慣れていきますので、酸味・苦味にもおいしさを感じるようになります。つまり、成長していくと様々な食べ物の味や食感を楽しめることが分かります。その様に味覚が育つことで、こどもの好き嫌いが減り、ご飯がより楽めるようになりますし、いろいろな栄養を摂取することができます。好き嫌いが減ることで、お弁当や給食で嫌いなものを食べ残し、帰宅後のお菓子で空腹を満たす、ということが減るため肥満傾向が下げる結果となっています。できるだけいろいろな味を受け入れて、大人の味覚に近づけてあげましょう。
2.味覚の感受性を育てる
味覚の感受性をもっとも左右すると言われているのが、食事時の環境です。例えばパパやママが野菜嫌いであれば食事に野菜が出にくくなりますので、自然とこどもも野菜嫌いとなりやすい環境だと言えますし、家でソース等をたくさん使用した食事をしていると、こどもにとってはそれが当たり前の味になります。このところ「こどもの約3割が味覚を正しく認識できない」とも言われており、濃い味の食事や外食の機会が増えていることで栄養に偏りがでて、亜鉛の不足による味覚障害が増えている、と言うことが挙げられています。特に乳幼児期に何を食べるかで、一生の味覚が変わってきますので、とても重要です。
3.味覚の成長度合い
赤ちゃんは生まれたときから塩味以外の味覚があります。その塩味も3ヶ月ほどで感じることができるようになります。その後3ヶ月から5.6ヶ月にかけては味覚がさらに育ち、とても敏感になる時期です。そのころの赤ちゃんはまだ自分で「これは食べ物」と認識することを勉強している時期ですので、与えられたものが生きるために必要なものかどうか、味を確認してします。渡されたものをとりあえず舐めたり口に入れたりするのはこのためです。6ヶ月を超えると徐々に落ち着いてきて、離乳食が開始される時期になり、幅広い味を受け入れて感じられるようになります。また、見えるもの触れるもの何でも自分から何でも舐めたり、口に入れたりして確かめたい気持ちになっています。さらに成長して2歳くらいになると五味の区別がつくようになり、同時期に好き嫌いがでるようになります。好き嫌いによる偏食は4~5歳がピークとなり、その後8~9歳で定着すると言われています。
4.3歳までにやれること
食べ物の好き嫌いは、脳にある「海馬」という部位によって左右されます。この部位は3歳ごろに完成すると言われていますので、出来るだけこの時期までに幅広い経験してもらい、脳に記憶させてあげることがとても重要です。ただ、3歳を過ぎても遅いというわけではありません。食べ物の噛む感覚や色と形、見た目やその時の雰囲気によっても、おいしさを左右します。苦手な食べ物も、食事の仕方や切り方等、見た目を変えただけで好きになるということもあります。8~9歳で定着するまでに、いろいろ工夫をして苦手な食べ物を克服してあげましょう。
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